代表 挨拶
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「長寿科学研究プロジェクト」では社会医学、保健学、栄養学、看護学、社会学、心理学的視点から沖縄の長寿要因に関する総合的長期追跡研究を進めております。
最近の資料で沖縄の男性平均寿命の低下が問題となっておりますが、女性の平均寿命や百歳長寿率、さらには三大生活習慣病による死亡率でみる限り、沖縄はなおわが国の代表的な長寿県です。
人の寿命や健康には遺伝要因や気候、空気、水などの環境要因、保健・医療・福祉など諸制度の充実条件なども影響を及ぼす大きな要因ですが、それ以上に個々人のライフスタイルが極めて強く影響しております。長寿県沖縄の高齢者の健康も、沖縄独特の精神風土の中での日々の暮らし方に支えられているのです。
ところで、21世紀の健康づくり政策として、国は「健康日本21」を策定し、取り組み始めました。その基本理念は、「すべての国民が健康で明るく元気で生活できる社会」の実現をはかるために、早世(早死)を減少させ、痴呆や寝たきりにならない状態で生活できる期間(健康寿命)を延伸させることなどを目標に、個人の力と社会の力を合わせて、国民の健康づくりを総合的に推進していくことにあります。各都道府県や市町村レベルでも健康日本21地方版の作成とそれに基づいた健康づくりが進められております。しかし、その成果は必ずしも挙がっておりません。従って、本研究プロジェクトはこれまでの研究成果を活用して、モデル地域・集団の健康づくりのための研究・支援事業の展開も積極的に進めてまいりたいと考えております。
現在私共が進めております「長寿研究」は、沖縄の長寿の要因を本土の他地域住民や中南米、ハワイなどへの県外移住者、更には中国東北地方との比較研究を進めながら明らかにしていくもので、その成果はわが国のこれからの少子・超高齢社会を健康で活力あるものとしていくため、多いに参考になる成果が期待されるものです。
また沖縄を21世紀の国民の健康・保養のための推進基地としての条件整備を図り、健康文化の醸成・高揚をめざす上で、本県の健康資源を活用した「健康と観光」の融合、さらには「食」、「農業」とも連携し、強く健康を指向した沖縄観光の方向性も睨んだ研究も積極的に推進してまいりたいと考えております。
昨今、国立大学の独立法人化に伴い、研究のあり方でも民、産、官との協力・提携の必要性が益々強く訴えられて参りました。
本プロジェクトも、研究・教育、・地域貢献を強く意識しながら存在意義を一層高めるよう努めて参ります。
どうか私共の研究推進のため、一層のご支援を心からお願い申し上げます。